税理士の私が起業時に実践した
「攻めの資金繰り戦略」
〜キャッシュが尽きないための3つの鉄則〜
「税理士なんだから、お金の苦労なんてしないでしょ?」
独立した際、友人から冗談交じりにそう言われたことがあります。しかし、現実は甘くありません。どれだけ緻密な事業計画を立てても、起業初期は「入ってくるお金」より「出ていくお金」が先行するものです。私自身、独立直後は通帳の残高が減っていくスピードに、プロでありながら胃が痛む思いをしたこともあります。
今回は、私が自身の開業前後で実践した「資金繰り戦略」の舞台裏を明かします。
多くの起業家が陥る罠は、「お金が足りなくなったら銀行へ行こう」という考えです。しかし、銀行は「お金に困っている人」よりも「お金を計画的に使える人」に貸したいと考えます。
私は開業前、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」を活用しました。ポイントは自己資金の透明性です。公庫の指針では創業資金総額の10分の1以上の自己資金が要件とされていますが、実際には3分の1程度あると審査の土俵が安定します。
一時的に借りてきたお金を自己資金と偽る行為は、通帳の履歴から必ず見抜かれます。これは税理士としての品位以前に、一経営者としての信頼を失う行為です。
福岡市は「グローバル創業・雇用創出特区」として、独自の利子補給制度や特定創業支援等事業による登録免許税の軽減措置(株式会社設立なら15万円が7.5万円に)が充実しています。これを使わない手はありません。
起業当初、立派なオフィスや最新の設備に憧れる気持ちはよく分かります。しかし、固定費は一度上げると下げるのが極めて困難です。
私は開業時、以下の徹底したミニマムスタートを実践しました。
オフィス: 最初から一等地に広い事務所を構えず、スモールスタート。
人件費: 最初から正社員を雇わず、アウトソーシングを活用。
システム: サブスクリプションモデルを活用し、解約の柔軟性を確保。
「利益」は売上から費用を引いたものですが、「キャッシュ」は支出のタイミングに左右されます。毎月必ず出ていく固定費を抑えることは、倒産リスクを最小化する最強の防御策です。
意外と見落としがちなのが、決算後にやってくる「納税」のインパクトです。
かつては「資本金1,000万円未満なら2年間免税」が通説でした。しかし、現在はインボイス制度(適格請求書発行事業者)の導入により、BtoBビジネスでは初年度から課税事業者を選択せざるを得ないケースが増えています。
法人化すると、役員報酬に対して会社負担分の社会保険料が発生します。これは「隠れた固定費」としてキャッシュフローを圧迫します。
結論:経営者の仕事は「キャッシュを回し続けること」
利益が出ているのに倒産する「黒字倒産」は、決して他人事ではありません。税理士として多くの経営者を見てきましたが、生き残る経営者は一様に「数字に対する誠実さ」を持っています。
無理な節税で手元の現金を減らすのではなく、正しく納税し、銀行からの信頼を勝ち取り、キャッシュを最大化して次の投資に回す。これが、私が福岡でスタートアップを支援する中で確信している「勝てる戦略」です。
福岡には、挑戦を後押ししてくれる熱いコミュニティがあります。一歩踏み出す皆さんの力になれることを、心より願っています。
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