AIで作った事業計画書は、公庫の面談でなぜ「即バレ」するのか

AIで作った事業計画書は、公庫の面談でなぜ「即バレ」するのか

AIで作った事業計画書は、公庫の面談でなぜ「即バレ」するのか

こんにちは、福岡の創業専門Fukuoka Startax税理士事務所です。

100社以上の創業融資サポートを通じて見えてきた、現場のリアルな話をお伝えします。

実は、2024年後半から、ChatGPTで事業計画書を丸ごと作る起業家が急増しているんです。気持ちはわかります。手間がかかるし、何を書いたらいいかわからないから、AIに頼りたくなる。

ですが正直に申し上げると、AIが作った事業計画書は、公庫の面談で必ずバレます。しかも、その瞬間から融資判断が悪くなる傾向が強いんです。

結論から言うと:AIで作った計画書がバレるのは、数字と現場の一貫性がズレているから。審査担当者は面談を通じて、あなたが本当に「その事業を理解しているか」を見抜きます。AIが作った一般論的な文言では、その証明ができないんです。

AIで作った事業計画書に必ず含まれる3つの「バレるサイン」

1. 数字が「業界平均」で統一されている

私が実際に立ち会ったケースなんですが、飲食店の創業者が提出した計画書の粗利率が「35%」でした。一般的な飲食店の粗利率はそのくらいなんです。

ですが面談で聞いてみると、その創業者は「高級和食を提供する予定で、仕入先は特定の高級魚専門店と契約済み」と言うんです。当然、そうなると粗利率は25~30%に下がります。

つまり、AIは「飲食店 = 粗利率35%」という一般データを使うから、実際の事業モデルとズレてしまう。面談で「この計画書、あなたの事業に合わせてカスタマイズされていないんじゃないか」と見抜かれるわけです。

実例1:美容室の創業者

AIで作った計画書には「初年度の客単価は8,000円、月のリピート率は60%」と書かれていました。

ですが面談で「あなたの店舗は駅前の好立地ですね。客単価は実際いくら想定してるんですか?」と聞かれた時、その創業者は「いや、うちは高級志向なので12,000円を想定しています」と答えたんです。

計画書と面談での説明が異なるだけで、「この計画書は自分で作っていない」と判断されました。

2. 「市場分析」がネット記事レベルで浅い

AIが生成する市場分析は、ほぼ確実に「一般的な正論」になります。例えば:

  • AIが書く典型例:「現在、個人の副業志向が高まっており、市場規模は年々拡大している。このトレンドに乗じて…」
  • 問題:こんな分析では、数千人の創業者が同じことを書いています。担当者にとって「あなたの独自の洞察は何か」が全く見えません。

実は、融資を通す起業家の多くは、こう書いています:

現場でバレない書き方:

「私は3年間、○○業界で営業を担当しました。その中で気づいたのは、既存の事業者は『A という課題』に対応していないということです。具体的には、私の顧客ヒアリングで10人中8人がこの課題で困っていました。市場規模は推定月額○○万円です。」

つまり、市場分析は「あなたが実際に見つけた課題」から始まることが重要なんです。AIはそれができません。

3. 売上見込みの根拠が「想定」で終わっている

これが最も致命的です。AIが作った計画書の売上根拠は、こういう書き方になっています:

  • AIの典型例:「初年度は月額○○円の売上を見込んでいます。これは業界平均の△△円に対し、20%割保守的に見積もったものです。」
  • 問題:面談で「その根拠は何ですか?」と聞かれた時、創業者が何も答えられなくなります。
実例2:コンサル業の起業家

「初年度は月額300万円の売上」と書いていた起業家が、面談で「その300万円はどこから来るんですか?」と聞かれました。

答え:「顧客を3社獲得すれば…」でも、その起業家は事前に顧客候補を全く開拓していなかったんです。

一方、融資が通った起業家は「既に5社から引き合いがあり、そのうち2社と契約予定。これで月150万円。残り150万円は紹介での新規開拓を見込んでいます」と、根拠を示していました。

「AIで作った計画書かどうか」を見分ける、公庫担当者の心理

担当者たちが使う見分け方は実はシンプルなんです。

AIで作った計画書の特徴
  • 数字が「業界平均」で揃っている
  • 市場分析がどこかで読んだことのある内容
  • 「つまり」「したがって」が多く、文章が堅い
  • 事業者の経験や背景がほぼ書かれていない
  • 面談での説明と計画書の内容がズレている
  • 「売上は〇社から」など具体的な顧客名・数がない
融資が通る計画書の特徴
  • 数字に「あなたの事業特性」が反映されている
  • 市場分析が「あなたが見つけた課題」から始まる
  • 創業者の経験や失敗談が具体的に書かれている
  • 売上根拠が「既に〇社との契約」など具体的
  • 面談での説明と計画書がピッタリ一致する
  • 競合より「なぜあなたなのか」が明確

AIと「本当の事業計画書」の決定的な違い

実は、この問題の本質は、AIの問題というより、「あなたが事業を十分に理解していない状態で、計画書を作ろうとしている」ことなんです。

多くの起業家は、事業を始める前に「何となくこんなことをしたい」という想いだけで、詳細を詰めていません。だから、AIに頼って「それっぽい計画書」を作ってしまう。

ですが融資を受けるために必要なのは、こういう準備です:

  • 顧客ヒアリング:実際に10人以上の潜在顧客に話を聞いて、彼らが本当に困っていることを理解する
  • 競合調査:既存事業者の決算書や営業方法を研究し、「あなたにしかできないこと」を見つける
  • 試算:見積もりや発注予約などの根拠に基づいて、あなたの事業独自の売上計画を立てる
  • 経験の言語化:あなたがこれまでどんな経験をしてきたか、それがこの事業にどう活きるかを言葉にする
⚠️ 重要な警告:AIで計画書を作った場合、公庫の担当者に報告する義務はありません。ですが、面談で「この計画書、あなたが本当に理解しているのか疑わしい」と判断されると、融資判断が大きく悪くなります。実は、「AIで作ったかどうか」より「あなたが事業を理解しているか」が見られているんです。

AIを「補助ツール」として使う正しい方法

では、AIを全く使うなということか?いいえ、そうではありません。

私のクライアントの中でも、ChatGPTを活用している起業家は多いんです。ですが、使い方が正しいんです。

  • 正しい使い方:「飲食店の事業計画書に含めるべき項目は?」という質問をして、項目の網羅性をチェック
  • 正しい使い方:自分が書いた文章の表現を「より簡潔に」「より論理的に」なるように手直ししてもらう
  • 間違った使い方:「飲食店の事業計画書を作って」とAIに丸投げする
実際のクライアント例:

女性起業家が美容室の開業を検討していました。彼女は「まず自分で計画書の骨組みを作り、その後ChatGPTに『この内容をもっと分かりやすく、短くまとめて』と依頼した」と言っていました。

結果、計画書の内容はすべて本人の言葉と経験が反映されたまま、表現が磨かれた計画書が完成。面談でも「あなたがしっかり準備しているんだな」と評価され、融資が通りました。

「本気の起業家」は、こう計画書を作っている

私が実際にサポートして融資が通った起業家の共通点は、こういう順序で準備していることです:

  • 第1段階:思いつきと経験を紙に書き出す(頭の中を整理する)
  • 第2段階:顧客に実際にヒアリングして、課題と需要を確認する
  • 第3段階:競合の研究と自分たちの強みを整理する
  • 第4段階:顧客情報と競合情報に基づいて、売上を試算する
  • 第5段階:それを計画書として文字に落とす(この時点では、表現の手直しでAIを活用OK)

つまり、計画書の80%は、事業を始める前の下準備で決まっているということなんです。

最後に、正直なところ:

創業融資の審査を通すために最も大切なのは、「立派な計画書」ではなく、「あなたがこの事業を本気で理解しているか」という姿勢なんです。

AIに計画書を丸投げするということは、その姿勢を放棄することと同じ。結果として、融資判断が悪くなるだけでなく、起業後も「なぜこの事業を始めたのか」という根拠を失ってしまいます。

面倒かもしれませんが、自分の事業をちゃんと理解して、創業計画書に落とす。その過程が、実は起業の成功確率を高める最初の一歩なんです。

もし計画書作成に悩んでいたら、この記事の「第1段階から第4段階」を実行してみてください。その上で、表現の手直しや項目漏れのチェックにAIを活用する。その方が、融資も通りやすいし、起業後の経営判断もブレなくなります。

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